こどもの予防歯科 歯と顎の成長とケア

マイナス1歳

乳歯の成長はお腹の中から
妊娠6週から、乳歯の歯胚(歯の芽)ができ始めます。そして妊娠4~6か月ごろに石灰化が始まります。この石灰化の時にカルシウムが必要となります。バランスのよい食事とカルシウムは1日1200mgを目安に摂取しましょう。
妊娠中は虫歯や歯周病のリスクが上昇します。
〔虫歯のリスク〕
・つわりによる、吐き戻し(胃酸による酸蝕)
・妊娠後期では胎児により、胃が圧迫され食事回数が増え、ダラダラ食べになる
・食の好みが すっぱいもの(レモンなど)にかわることによる酸蝕
・女性ホルモンの変化により、唾液の量や緩衝能が低下し、虫歯になりやすくなる
〔歯周病のリスク〕
・女性ホルモンの変化により、妊娠性歯肉炎、妊娠性エプーリスを生じやすくなる
・こどもにカルシウムがとられるため、意識してカルシウムをとる必要がある
*中等度以上の歯周炎の人が妊娠した場合、低体重児出産、早産のリスクがあがることが知られています。

0~1歳

哺乳ビンの乳首は口の機能に影響を与えるため、噛んで飲むタイプを選びましょう。
おしゃぶりも必要に応じて用意することになりますが、これも口の機能に良い影響をあたえる製品を選びましょう。
生後5か月ごろから歯磨きトレーニング用の歯ブラシ(のどを突かない工夫のされたもので毛がゴム製のものなど)で口の中でブラッシングされることに慣れさせます。

生後8か月ごろに下顎の乳中切歯が生え始め、次いで上顎の乳中切歯が生えてきます。
引き続き、歯ブラシに慣れさせ、歯固めも兼ねて安全性の考慮されたトレーニング用歯ブラシを使用します。
仕上げ磨きは痛がらないように柔らかめのベビー用仕上げ磨き歯ブラシやガーゼを用います。歯茎マッサージ用歯ブラシで親が磨いてあげるのもよいでしょう。
フッ化物は100ppmほどのものを利用するとよいでしょう。
親族からのスプーンなどを介しての虫歯菌の感染の可能性が知られています。口移しは避けましょう。
関連する項目
・上皮真珠  ・先天性歯  ・母子感染 ・歯固め など

1~2歳

一歳半健診のころには第一乳臼歯が生えてきます。奥歯磨きを始める時期です。

1歳2か月~1歳7か月 (前歯+第一乳臼歯)
乳臼歯が生え始め、歯磨き習慣を確立させる必要があります。
歯ブラシは普通の自分磨き用歯ブラシ(子ども用)で磨き、仕上げ磨きはひざの上仰向けに寝かせ行います。奥を磨く時には痛みがでないように柔らかい歯ブラシで汚れをほぐす様に行います。
明るい場所で磨きましょう
関連
・自分磨き用歯ブラシ  ・仕上げ磨き

2~3歳

3歳児歯科健診のころにすべての乳歯が生えて乳歯列が完成します。仕上げ磨き嫌いが出始めます。
口の周りに触れることに慣れさせながら仕上げ磨きができるようにもっていくなどの工夫が必要です。

2歳6か月~3歳4か月 (乳歯列完成期 20本の乳歯)磨き残しが無いように順番を決めて磨くとよいでしょう。特に生えたての乳臼歯は汚れが残りやすくむし歯になりやいので注意が必要です。歯と歯の間の汚れは、子供用デンタルフロスを使用します。乳歯の虫歯予防、特に生えたては酸によって溶けやすいので積極的なフッ化物の応用、歯の溝が深い場合にはシーラント処理が有効です。歯科医院で歯科専用高濃度フッ化物やシーラント処理をするとよいでしょう。場慣れをするために早い段階から歯科医院に通うのもよいでしょう。食後にキシリトールタブレットやガムを噛むのも虫歯予防になります。

 

6歳

6歳ごろになると6歳臼歯(第一大臼歯)の萌出と切歯(下顎中切歯→上顎中切歯の順)の交換が始まります。大人の接しは子供の切歯の1.5倍ほどのサイズです。生え変わりには十分なスペースが必要です。

6歳臼歯(第一大臼歯)を大切に ・6歳臼歯は完全に生えきるまで、歯肉をかぶっているため磨きにくく、汚れがたまるため虫歯になりやすい状態です。生え始めから完全に生えるまで6か月以上かかります。

・かぶっている歯肉を噛むと痛みがでることがあります。

・大臼歯は溝が深いため、汚れがたまりやすく溝虫歯になりやすい歯です。シーラントが有効です。

・生えたての永久歯のエナメル質は未成熟でやわらかく溶けやすい状態です。

・指しゃぶりなどの口腔習癖や小帯の付着異常にも気をつける時期です。